暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待 | エイドリアン レイン (著), Adrian Raine (原著), 高橋 洋 (翻訳)
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犯罪とは社会的な構築物なのだ。それは法によって定義され、有罪判決と懲罰は、社会的、法的なプロセスによって決定される。法は時と場所によって変化する。たとえば売春は、法的に禁じられている国もあれば、合法とされているくにもある 。ならば、どうして生物学的、遺伝的な特徴が社会的な構築物に影響を与え得るのか?犯罪の中心には、確かに社会的要因が存在するはずではないのか?
鎖につながっれて警備員に釣れられてきた41人の殺人犯を、脳スキャン装置にかけた。彼らは非常に手強く、威嚇的で、険悪そうに見えた。だが、実際はとても協力的だった。殺人犯はそれまでの人生の99.99%をごく普通に暮らしてきたわけだが(だから彼らは、つねに隣人のように見える)、その事実はともすると忘れられやすい。あっという間の残虐な行為が、殺人者とそれ以外の人々を分かつ。
出産時の合併症が、外在化問題行動の増加に強く関係すること、そして11才時点でのIQの低さに結びつく事、さらにはIQの低さが外在化問題行動に関連することを発見した。この三要因間の関係は完全で、IQの低さは、出産時の合併症とのちの問題行動を橋渡しする役目を果たす。要するに、出産時の合併症がIQの低さをもたらし、今度はそれが、小児期後期になって問題行動、すなわち攻撃性、反社会的行動、活動亢進を引き起こすのだ。IQは脳の機能に依存し、他の神経認知的な基準と同様、脳機能の指標として用いることができる。